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今まで話していたのは、全員ではなかったらしい。
今初めて聞こえてきたのは、低い低い声の2人。
それだけで確実に、萌貴君よりも高めの声を持つ親衛隊よりも、大きな体系をしているということが想像出来た。
僕よりも大きいかもしれない。
気が付けば雪斗の身体は微かに震えていた。
「あんたは遊んでただけのつもりなのかもしれないけど、副会長にも迷惑掛けたって、みんな騒いでるよ? 自分でしたこと、恨めばいいよ」
「……ぅ、やめ……はな、せ、触るな!」
雪斗はドアに飛びついて手をかけた。
思い切り横にスライドさせようとするが、開かない。
両手で乱暴に、何かに突き動かされるように鍵のかかっていた扉を動かした。
けれどそんなことをして開く筈はない。
中では誰かが来たことで焦っていたが、雪斗には関係なかった。
副会長、つまり会話に自分が出てきたことよりも、強姦という文字が頭に浮かんだことで雪斗は気が動転するようだった。
風紀に連絡を入れたりということも思いつかない。
同様に、呼び掛けてドアを開けさせようとも、すぐには浮かんでこなかった。
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