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扉が開かないことをはっきりと認識した僕は、やっとそこから手を離した。
その直後、内側からガチャリと鍵が開けられる音が聞こえた。
ドアが開くと思うと、僕の身体は反射的に後ろに下がった。
ガラッと素早くスライドして生徒が部屋を飛び出す。否、飛び出そうとしていた。
出ようとしていたのは3人の親衛隊だった。
きっと、捕まらないよう開けた瞬間に走って逃げようとしていたのだろう。
しかしそれは無理だった。目の前にいたのは、自分達の親衛対象だったのだから。
「副、会長…様………」
呆然と呟いた生徒は、会話を聞いていた限り3人の中でリーダー的な存在だろう。
他の2人も雪斗を見たまま同じく固まっていた。
僕は取り乱さないように声を漏らした生徒を見下げた。
微かに、笑みを交えて。
「副会長、で構いませんよ? 先程もそう呼んでいたようですし」
「…っ、逃げるよ!」
彼はそう言うと雪斗を避けて走った。他の2人も慌てて追う。
ァ
僕は敢えて捕まえようとはしなかった。
2ーC、2ーD、1ーC。顔はちゃんと見ていたのでクラスは把握している。
それより早く萌貴君を助けないと。
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