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空き教室に踏み込むと、一人が尻を着いた萌貴君を後ろから羽交い締めにしており、その横に2人、やはり図体の大きい生徒が立っていた。
残り2人かと思ったら、3人だったらしい。
「雪斗!?」
驚愕に目を見開く萌貴君に笑いかけたくもあったけど、僕は拳に力を込めてその人達を見た。
表情は冷静でいて軽く睨み付けるように。
3人は同じようににやけていた。
気持ちの悪さに身震いしそうだ。
「生徒会の副会長様じゃーん」
「誰だよ。適当にいなしとけばいいっつったの」
「………ばーか。お前だろ?」
人が来てもこうして逃げなかったのは、やはり一人くらい何とかなると思ったのだろう。
そして生徒会である雪斗を見ても、逃げるどころかむしろ楽しげだ。
悪いことをしてるとこれっぽっちも思ってない。
ふざけるな。
「あなた達……何をしているのかわかってるんですか? 今すぐ萌貴を離しなさい」
「うわ、萌貴~だって。副会長も虜にしてたわけ?」
「いいえ」
心底可笑しそうに笑う男に即答する。それでもなお生徒達は笑うのをやめなかった。
「なんだ、嫌いならほっとけばいいじゃん。ご立腹なんでしょ」
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