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ギャハハと笑う男達に不快感を覚える。けれどそれ以上に悲しいのは、僕がそういう性格だからだろう。
「いいえ。嫌ってもいませんし好きにもなっていません。それから、そんな理由で犯罪行為を野放しにはしません」
犯罪行為という言葉に、男達は笑うのをぴたりとやめた。
うっとおしそうに、あるいは苛立ったように雪斗を見る。
「おいおい酷いなぁ犯罪だなんて。なあ、萌貴君?」
「──ひっ!?」
羽交い締めにしていた生徒が萌貴君の乱れていたYシャツの裾(スソ)から手を突っ込んだ。
萌貴君は悲鳴を上げる。
「やめなさい。離せと言った筈です」
目を鋭くして言った。萌貴君が悲鳴を上げた瞬間出た足を一歩で止める(トドメル)。
風紀に連絡したからもう来るとか嘘を吐けば、男達はすぐにでも逃げていくだろう。
学年とクラスも既にわかっているし、見逃すからさっさと出ていけなんて言うのでもいいかもしれない。
けれど雪斗はそうしなかった。
僕は怒っているのだ。
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