2602人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
「おい! 何ぐずぐずしてやがる! さっさと捕まえろ!」
萌貴君を抑えている生徒がそんな風に怒鳴る。倒れて呻き声(ウメキゴエ)で悪態を付く男から横に転がって、もう一人の蹴りを避ける。
起き上がる前にほぼ垂直に落ちてきた拳を手で横に逸らし、もう一方の手でわき腹に掌打の一撃を放つ。
のけぞった男に雪斗は片膝を上げてその膝頭を胸に当てた。
そのまま押し上げ、顔面を蹴りつける。
雪斗が足に痛みを感じて眉を寄せたときには、相手の身体はもう一人の男の方へ吹き飛んでいた。
素早く立ち上がり萌貴君の方を見ると、若干服の乱れが増えた萌貴君を捕らえていた男は驚愕に目を見開いていたが、すぐ怒りの形相に変わった。
というか、僕と自分の仲間が戦っている間も脱がそうとしていたのか。
「もういいでしょう。早く萌貴を離しなさい」
「アッタマきた…もう許さねえこのチビ……!」
そう言って立ち上がる男。
聞いてないし……。
割と見かけ倒しの2人だったのでやられる心配は無さそうだけど、そろそろ疲れてきた。
僕は体力がないのだ。
でもまあ萌貴君が開放されただけいいかとも思い、相手への怒りをぶつけるため構えた直後。
最初のコメントを投稿しよう!