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自分で喧嘩をけしかけるような真似をしておいて何だけど、雪斗はそう言った。
状況を把握したのか、男は舌打ちをして他の2人を見た。
逃げるぞ、と声を掛けて教室を出て行こうとする。
「あ、待て変態!」
「萌貴」
追い掛けようとする萌貴君を手で諫める(イサメル)。
どうして、という目線を向けられるけど、今は無視。
男達に僕の考えを感づかれないように無言で逃げるのを見届ける。
足音が聞こえなくなって、萌貴君は僕からバッと離れた。
「雪斗! どうしてあいつらを……!」
「大丈夫です、萌貴。あの方々の学年とクラスはもう把握しておりますので問題ありません」
「えっ! 何でそんなの……」
「高等部なら、顔とクラスは覚えています。明良は名前まで覚えてますよ」
萌貴君はかなり驚いた様子ですげぇ……と呟いた。
僕は萌貴君が怯えて(オビエテ)いる感じもないから少し安心する。
すると萌貴君は今思い出したように僕に尋ねた。
「というか、すげぇ強かったな、雪斗! 何でそんなに強いんだ!?」
強いというか……。
「昔、色々習ってたんです。まあ今も護身用程度に続けていますが……」
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