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義父に言われて習った護身術は、それはもうきつかった。
例え力の強い者に襲われても、逃げれるようになる為には生半可な修行では済まされない。
ましてや、雪斗は小学校5年までまともな運動もしてこなかったのだ。
学校の体育でさえ虐待の所為で本気で動けなかった。
そんな雪斗が短い時間で護身術を身に付ける為に何をどれほどやったのかなんて……思い出したくもない。
でもそれを義父や兄がやらせたのは雪斗を守る為だということはわかってる。
普通ならいらないかもしれないけど、実際今みたいに何度か使うことになっているのだから感謝していた。
閑話休題。
「ところで……服、直した方がよろしいのでは」
「え……あっ!」
ブレザーは肩からずり落ち、ワイシャツのボタンは全開。なかなかひどいものである。
そういえば何で新勧は鬼ごっこなのに制服でやるのだろう。大分今更だが。
萌貴君は慌てて直すのを見て、他には何もされてないようで安心する。
あ、でも……。
「ところで怪我はありませんか? 随分萌貴も強かったですが……何か習ってたんですか?」
「え!?」
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