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「更に言えば」
何か言おうとする萌貴君を遮る(ｻｴｷﾞﾙ)。
「隠し事をしているから、何なのですか？ 秘密が一つもない人間などいません。同時に、それをあなたに話す義務もないのです」
どんなに正直な人間でも、話していない事実の一つや二つあるもの。
それは大きい小さい関係なく、誰かに言わなければならないという義務もない。
「俺は、そういうことを言ってるんじゃない！」
「他に何があると言うのですか」
「雪斗が……雪斗が無理してるって言ってんだ！」
やはり、彼は学習しない。
人が望むことを、１から１０まで伝えなければ理解出来ないのだろう。
「私は無理などしてません。萌貴。あなたは勘違いしています」
そう、僕は無理なんかしてない。
僕は自身が傷付かない為に、あのときのように苦しまない為に、努力しているだけだ。
人に嫌われない為に努力している人間は沢山いる。
そしてその努力は自分にとって苦ではないのだ。
少なくとも、僕はそうだ。
「無理してると思うということは、私は我慢している、と思っているということですよね？ それをやめろというのは、私に本能だけで生きろと、そう言ってる訳ですよね。聞こえは良いかもしれませんが……あなたは私に、全ての人間から嫌われろと言っているようなものです」
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