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僕だって、偽りだらけのこの生活を、心から望んでいる訳ではない。
嫌われたくない、その一心で篠崎雪斗という新しい人間を演じているのだ。
それに全てを偽っている訳でもないのだから、それ程の苦痛があることもない。
今の雪斗を全て否定し、演技をやめれば、きっとまた友達がいなくなる。またあの頃が戻ってくる。
むしろ、それの方が僕にとって苦痛でしかないのだ。
ありのままの自分で結果誤解ばかりされ人に嫌われることと、一部を偽って人に好かれること。僕なら迷いなく後者を選ぶ。
「ち、違う!」
「違いませんよ」
「そうじゃない……!」
雪斗は腹が立っていた。泣きそうになりながら眉を寄せて叫ぶ姿に。
善で動く人間に怒りを感じたのは初めてだった。
「嘘を吐くなんて、友達じゃない。だから、」
「あなたはわかってない」
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