2602人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
怒りを乗せた言葉で言う。相手は幼い子供ではない。
優しく語りかける。偽りの仮面に気づかれてしまった今、その必要は、もう無い。
「私は、隠しているだけです。そしてそれは、人に言う必要が無いものなんです」
こちらを見つめる彼を真っ直ぐに見て話す。
「私は、自らの思いを、考えを、気持ちを、偽っているわけではありません。そして私にはちゃんと、友達がいます。例え少なかったとしても、それが私にとって一番の幸せなのです。」
僕は自分の気持ちを伝える為に、笑顔を作るだけ。
悲しいことも
嬉しいことも
楽しいときも
苦しいときも
つまらないのも
面白いのも
怒りも
ただ、全ての感情を、自分の思いを伝える為に、作るのだ。
彼を、睨む。
なのに彼はまだ、わからない。
「違うっ! 雪斗はほんとは、幸せだなんて思ってない! 自分に嘘吐いてるんだ!」
「そんなことありません!」
あまりの言い草に思わず、とうとう怒鳴ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!