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雪斗が初めて声を張り上げたからか、萌貴君は驚いた顔をした。
「何故、私の言葉を否定するのですか。私は今あなたに、嘘なんてひとつも言ってない!」
どうして信じてくれない?
とうの昔に忘れた筈の言葉が出掛かった。
それを飲み込んだけど、表情を作ることは、もう出来なかった。
無表情になってしまった雪斗に、彼は更に驚いて、そして、睨み付けてきた。
「違う! 無理してないなんて嘘だ! だって雪斗は、人を信じれてないじゃないか!」
そう叫ばれたとき、感じていた悲しみが打ち消される程の衝撃が、雪斗の頭を襲った。
目の前が一瞬、赤く染まる。
それ程までの、怒り。
「……信じてない、なんて、私がいつ言ったんですか?」
拳に力が入る。
「私は、信用しています。もちろんそれは、学園の生徒全員ではないでしょう。しかし」
体中に、力が入る。
「私はクラスメートの言葉をを信じています。親衛隊の好意を信じています。そして何より、生徒会の仲間を、心から信じています」
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