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萌貴君は言葉を紡ぐ(ツムグ)。
「笑顔を作るのはつらいって、今言ったじゃんか!」
一瞬、萌貴君の言っていることが理解出来なくて固まる。
だけど僕は、自分の言葉を振り返り、そして気付いた。
『私が笑顔を“作らなければならないのは”、信じる信じないなんて関係ありません』
僕は無意識の内に、笑顔なんて作りたくないという感情を、言葉に乗せてしまっていたんだ。
いや、違う。そんなことない。
心を否定したくて、けど言葉に出してしまっていて、雪斗は焦る。
「つらい訳じゃ、ありません」
「それでも!」
雪斗が否定しようと話そうとしても、萌貴君はすぐに言葉を遮ってきた。
彼は真っ直ぐ、こちらを見ていた。
「本当の自分を見せられないってことだろ? 本当の自分を見せるのが怖いってことだろ?」
彼は、叫んだ。他ならぬ雪斗の為に。僕の、ために。
「嫌われるのが怖いって……本当のことを言えば、みんな簡単に裏切るって、そう思ってるってことだろ!?」
彼が何を言いたいのか、やっと気付けた気がした。
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