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「雪斗っ! 萌貴は何をされた? どの親衛隊だ!」
そう言って怒鳴る明良の表情は、怒りに満ちている。
これで制裁を行った親衛隊の素性を言おうものなら、何をしでかすかわからなかった。
それほど、萌貴君のことが好きなのか。
僕が生徒会室に行かなくても、何とも思わないほどに。
自分の嫌な思考に気が付いてはっとする。
生徒会室に行かなくなったのは“自分が望んだこと”なのに、今更こんなこと考えてどうするんだ。
「制裁を行った生徒のクラスは覚えていますので、そちらは新歓が終わってからで良いでしょう。明良は萌貴を風紀に連れていって事情を聞いてもらえますか?」
「……萌貴は、何もされてねえんだな」
「少なくとも、未遂です。今捕まえようとなると、大変でしょう」
後回しで構わないだろうという雪斗の言葉に、大したことではないと認識してようやく明良も安心したようだった。
普段なかなか見れない焦りを引っ込める。
実際は強姦(ゴウカン)をされかけた訳であるからかなりの問題ではあるのだけど、それは今話さずともいいだろう。
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