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本当は。
立派な当事者である雪斗も、強姦未遂なんてことをした親衛隊を含める六人も、すぐに呼び出して風紀室に集めるべきなんだろう。
幸い萌貴君は平気そうだったけど、普通なら震えて動けなくなってもいいことなのだ。
要するに、自分が行きたくなかっただけだ。
萌貴君とこれ以上話していたくなかった。
明良が萌貴君を心配する発言をこれ以上聞いていたくなかった。
もし自分がもっと安全に対処出来なかったのかと明良に責められでもしたら、耐えられるかわからなかった。
もちろん、表面上はいくらでも繕える(ツクロエル)。誤魔化し切る自信もある……萌貴君以外なら。
でも、明良は……ずっと大切な“友人”だった。雪斗にとって、生まれて初めての──親友なのだ。
失うのが怖かった。何もそれは明良だけではない。
萌貴君に、生徒会のみんなからの今の立ち位置でさえ、とられてしまったらと思うと、ただただ怖かった。
でも生徒会室に行かず、萌貴君と他の生徒会メンバーの交流を深めさせようとしたのも、また自分。
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