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作戦が成功したところで完全に危機が去ったわけではない。
息を整えながら人気のないところへ行こうとしたそのとき。
会議室の隣りの部屋のドアが開く音が聞こえた。
「──っ!?」
反射的に駆け出して、ある程度そこから離れた後振り返る。
会議室の隣りと言えば──風紀室。
もしかしたら、慌てて逃げる必要のない風紀委員かもしれなかったからだ。
しかし、ドアから出てきたのは会いたくなかった相手。
「──‥雪斗!? 嘘、何でここに……って雪斗!?」
雪斗は一瞬固まった後、風紀室と反対方向にもう一度ダッシュした。
萌貴君の事情聴取がピンポイントに終わったらしい。
一応萌貴君は鬼の筈だし、一応逃げていい筈一応。
「っ、待て! 雪斗!」
何で引き止めようとするのだろう。
さっきの制裁のことで話さなければいけないことがあるとか?
……いや、これはただの現実逃避だ。
想像したくないのは、捕まえて、作り笑顔をするなとか無理難題を命令してくる……とか。
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