7、結果発表とその後

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生まれて初めて1人で電車に乗ったとき、優先席に赤ん坊を抱えた女が座っていた。 その電車はそこそこ混んでいて、つり革全てに立っている人間が掴まっても、まだ人が余る程だった。 すると何があったのか、赤ん坊が突然泣き出した。電車がちょうど止まっているときだった。 周りにいる人間は何も言わなかったが、迷惑そうな顔をしている人間も少なからずいた。 しかし母親は電車を降りようとはせず、赤ん坊は軽くふた駅分は大泣きしていた。 雪斗はそんな耳障りに感じる音を、立ったまま聞いていた。 苛ついていた。しかし、雪斗が苛ついていたのは、赤ん坊の泣き声や、電車を降りようとしない母親ばかりではないだろう。 赤ん坊はずっと泣いていた。たまに収まったと思っても、母親があやしても、すぐにまた大声で喚いた。 これ以上ない程の叫び方。迷惑そうな人達。あやす母親。 怒らない母親。 雪斗は赤ん坊のときから小学校に入るまで、外に出ること自体ほぼ皆無だった。 けれどもし、この赤ん坊のように電車に乗って、何か少し不快なことがあったとしても、泣いて喚くことはなかっただろう。
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