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どこまでもどこまでも純粋な目。
疑うことを知らないような、この世の裏なんて考えたこともないような、まっすぐな……ああ、僕は
羨ましいのか、彼が
「雪斗!」
「……はい」
何を言われるかわからなくて、焦っているのは確かなのに。自分の声はやけに冷たかった。
「俺、考えてたんだ。親衛隊に色々言われてから、雪斗のこと」
「……萌貴?」
命令ではないのか。雪斗は冷静な心の中で純粋に、真面目な雰囲気の萌貴君に興味を惹かれた。
「雪斗のことだけじゃなくて、明良達もさ、何でこんなに人気なんだろうって。親衛隊とかいるし、そいつらの言ってることはふざけんなって思ったし、でも、風紀にも色々聞いて、雪斗に迷惑掛けてたってのも知って……だから、雪斗!」
「はい」
「ご飯! 一緒に食べたい!」
「……ええと」
何が、だからなのか、これはつまり命令ということなのか。
萌貴君の考え方が変わったらしい、というのは何となくわかるが、他はさっぱりだ。今はただ話す気がないのかもしれない。
萌貴君は一心に僕を見ている。答えを待っている。
とりあえず、食事くらいなら問い詰められるより全然いい……と思って普通に返事をしかけて、雪斗は自分に待ったをかけた。
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