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ご飯を食べたい、ということは2人で話したいという意味が含まれているのかもしれない。そして話すこと自体への命令はしなかったことから、無理矢理聞き出す気は恐らくないと言える。
しかしここで問題になるのはどこで食事するのか、だ。
つまり、誰か他の人間に聞かれると雪斗にとってまずい事態になる。
この学園で真っ先に思い浮かべるのは食堂だが、僕と萌貴君とで食堂に行こうものならまず間違いなく他の生徒達に聞き耳を立てられてしまうだろう。
萌貴君が何を話したいのかはわからないが、それは僕にとってあまりにも危険な行為だ。
校舎内ならどこでも同じ危険が付き纏う(ツキマトウ)。なら結月君達と同じように、外出届けを出して、外へ?
それも、嫌だ。萌貴君は常識に欠けるところがあるし、単純に、僕が食事する為だけに彼と2人で校外まで行きたくない。
そもそも食事がしたいと言う相手に対してデート(と少なくとも他の生徒に思われる)に誘うなど変な話だ。
話を誰に聞かれることなく、かと言って校外に出る必要もない場所。
それはつまり。
「それなら、私の部屋に招待させて下さい。お夕飯をご馳走しましょう」
寮の、一人部屋。
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