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「雪斗の、部屋?」
「ええ。いいですか?」
うんうんと頷く(ウナズク)萌貴君にほっとしたような笑顔を作り、ポケットから携帯電話を取り出す。
「では、いつにするか連絡しますので、携帯の電話番号を教えて頂けますか?」
「あ、うん!」
嬉しそうに携帯を取り出す萌貴君。
寮の部屋なら誰に聞かれる心配もないし、萌貴君を傷付けるような前みたいなことにはきっとならない筈。今携帯の番号を交換しておけば、予定を人前で話す必要もない。
あくまで新歓の賞品だし、部屋に誘ったのは僕、副会長自身だから誰も文句は言えないだろう。
が、部屋に来ることに萌貴君が頷いたあたりからざわめきが増している。
部屋でご飯だけなら親衛隊の反感も少ないかなと思ったのだけど……駄目だったのだろうか?
ちらりとステージに並ぶ生徒会4人を振り返り、進行役の明良にも目を移す。
誰にも、それこそ萌貴君にだって嫌われるのは嫌だけど……あの5人にだけは絶対に嫌われたくない。
みんなはどう思っているのだろうか。
みんなと萌貴君の話をしたのは彼が転校して来て初日に食堂に行ったときだけ。
萌貴君のことは少なからず気に入っているようだけど、彼を拒む僕のことはどう感じているのか。
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