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けどあいつは、未だに俺を捕まえた理由と、俺への命令をどうするのか、言ってこないのだ。
ガンッと拳をを机にぶつけてみる。直後、狙ったかのように会議室のドアがガラガラと開いた。
「ああ、隊長。流石、早いな」
机につっ伏すくらいの奇行ならいつものことだと言わんばかりに普通に話し出すのはもちろん副隊長浅井邦宏。
そのまま近くの席に座り、何やら書類を出す音が聞こえた。
一樹は問いかける。
「……で? どうすんだ?」
「ん? ああ、親衛隊なんだが、今日朝挨拶活動のときに、」
「そっちじゃねぇよ」
「……何?」
顔を横に向けて副隊長を見れば訝しげな顔。本当にわかってねぇなコイツ。
「新歓の」
「……親衛隊か?」
ああ、もうっ。
「だからっ! てめぇ、俺への命令どうする気だよ。何も無しにでもしてくれるつもりかよ!」
「……お前、本当に生徒会親衛隊か?」
少し驚いた顔をした副隊長は、すぐ訝しげな表情に変わった。
そうして発した問い掛けに、俺は完全に硬直する。
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