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俺はさり気なく、いかに自分が出来た人間でないか話に混ぜる。
「実際さ、俺なんて親衛隊の隊長なんかやってても、今回の制裁の件もあるけど全然まとめられてないわけじゃん? それに比べて副会長はこうして力があってさ、生徒会長とは違って常識に秀でたカリスマ性っていうか、そういうのがあるよね」
言ってて若干情けなくなるが、こうして改めて考えてみると何故副会長を差し置き俺なんかを好きなのかが謎だ。
いや、むしろただの勘違いなのかもしれん。デートに誘ったのだってただの気まぐれで、副会長を誘うなんて出来ないから暇そうな俺を捕まえただけで。
そうだ、きっとそうに違いない。そう期待して、副隊長の方を見た、が……
「え、な、何」
さっきまで確かに嬉しそうに笑っていた筈の副隊長が、無表情で俺を見ていた。と、いうより。
「何、怒ってんの……?」
「怒ってんの、じゃない」
そう言い返した副隊長は、確かに、怒っていた。
ぶすくれた、でも少し呆れたような顔をして、副隊長は続ける。
「お前はなんでそう、自己評価が低いんだ。まとめられてないから制裁が起こった? そんなわけないだろう。今回は状況が特殊だ。あれだけ転校生がやらかして制裁への気持ちを持たせないのは無理があるし、例え生徒会だって止めるのは難しかった筈だ」
そもそも、止められなかったと言うなら俺だって同罪だしな、と続ける副隊長を、一樹は呆然と見ていた。
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