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「隊長は、綺麗だ」
っっ!?
「この男にしては色白できめ細かい肌も」
するりと、頬を手が撫でる
「人間が反射的に愛らしいと思うこの大きな目も」
一樹の目の横の髪をかきあげるように手は辿り(タドリ)、そこからまた下へ動く。
「そしてこの、誘うような赤く膨れた(フクレタ)唇ぅぐ!?」
ガタガタッと派手な音を立てて椅子から落ちる副隊長。原因はわかっている。指が唇に触れた瞬間、俺が副隊長の顔をぶん殴ったからだ。
「い、いきなり何をするんだ!」
「うるせぇ! 帰る!」
「はぁ?」
こいつっ、こいつ本当にありえねえよ……!
きっと今、俺は顔が真っ赤になっている。怒鳴ってはみたが、俯いたまま顔を上げることが出来ない。恥ずかし過ぎて涙が出てきそうだった。
だが、理解出来てない副隊長は何を言ってるんだという声色で言う。
「帰るって、まだお茶会の日程も決まってないし、今後の方針に関しての取り決めも、」
「明日やる! 俺は忙しい!」
自分の学生カバンをひったくるように掴み、一樹はそのまま親衛隊室を出た。ドアは開けっ放しで寮の方に走り出す。
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