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全力で走りながら、今すぐ喚き(ワメキ)散らしたい衝動に駆られる。
副隊長があんなに自覚なしに言葉を紡げるなんて初めて知った。鈍感にも程があるというものだろう。
だって、どうすりゃいい。明日から、というか、同室者なんですけどマジあいつの前でどんな顔出来るっていうんだよ……!
副隊長の手が俺の顔を辿る度、ほんの少しずつ顔が近付いてきて、しかもその目がうっとりするように細くなっていくのがわかって。
自分に向けられる、熱のある視線、なんて。初めて見た。
「────っ!」
顔から火を吹きそうな程熱い。一樹は無駄な行為だとわかりつつ、数時間は寮には帰らないことに決めた。
そして、浅井邦宏の方といえば。
「何か間違ったことを……言った、か?」
床に尻もちを着いたまま、呆然と一樹が去っていった方を見ていた。
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