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『落ち着け、パニックをおこすと酸欠になりかねんぞ』
ダンタリオンは静かに言う。
確かにこの状況では限界が訪れるだろう。さっきまでの悪夢のような不安は消えて、現実味を帯びた困難に目が覚める。
「セーレ、ダンタリオン、一瞬双子をたのむわ。」
俺は小さなバリアを張って、黒いそれで覆われたバリアを解除した。
「<クロノスフィールド>」
魔法は全く意味をなさずそれらは蠢く。
「やはり、効かないか。」
なんらかのイリーガルイベントだと思っていたが。
ナスの両目が赤く光る。
『<焦熱地獄>』
巨大な火炎が一瞬で円形に広がり、ぶちぶちとそれらは灰に変わる。火柱が天をつき、セーレや双子のバリアの回りは暫く大丈夫そうだ。
「アウナス、助かった」
バリアを一度解除し、校舎の方へ移転してもらった。
しかし、殆どの生徒は校庭で真っ黒になったバリアを支え続けている。
黒いのが焦げた匂いは強烈で少しくらくらしたがそれどころではない。
どうにかこれを食い止めねばならない。
いったいこれにまみれたらどうなってしまうのか分からないが、おぞましいこれらが身体中を這いずり回るのを想像して寒気がした。
空からそれらが降るのは収まっていたが、暗雲はぐるぐるとまるで学校の上空だけを旋回しているように見える。
『在るべき場所へもどりなさい。<光の報復> 』
聞き覚えのある声とともに黒いムシは一掃された。
「・・・お前は」
そこには、人間界にいるはずのないものだった。
どうしてお前が今ここにいるのか、今何がおこっているのか。
さっぱりよめねーよ!
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