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俺は真っ赤な血を浴びて、暫くそこに立ち尽くしていた。
ドラゴンも生き物だ。
人間と同じ赤い血が流れている。
目の前も真っ赤だ。
銀の鎧もドラゴンの血を反射して真っ赤に染まった。
きっと俺も真っ赤だ。
力も、声も出なくて、
心の底で、小さな影を落とした
なんだよ
どうして、こんな世界にきてしまったんだろうと、始めて思った。
俺は主人公の死に巻き込まれて、偶然死んだばかりだったから魔王の召喚対象となっただけだ。
そうか、全部「神」のせいか。
主人公の変わりに殺されるよりはよっぽどマシかもしれない。
いつも神と運命は人間にとって理不尽だ。
何なんだ
本当のところ魔王が何を考えているのかも分からない。
俺は何のためにここにいるんだろう。
そう考えて、なんだか泣きたい気分だった。
だけど脳内は水分不足を起こしたようにカラカラと渇いていた。
泣いている場合でも何でもない。
厨二かよ、ナスの呟く声で我に返った。
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