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安心しきったように眠る夜神の顔を見つめ、思う。
───どうして、オレなんだ。
それは夜神と関わり始めてから常に抱いてきた疑問。
───お前はかっこいいし、オレみたいな平凡なだけのイケメンでもない男に執着して。
時間の無駄だと思わないのか?
向けられる優しさが嘘じゃないことはわかってる。
新しい家族を気遣って自ら身を引いた夜神の優しさは、多分本物だと思う。
そしてオレに向けられる好意。
恥ずかしくて逃げ出したオレを、夜神は追いかけてきた。
あの時はすごく混乱していて、自分の変化を認めたくない一心だったけれど。
───本当は……ほんの少し、嬉しかった。
でも………でもさ、夜神。
平穏な人生を生きていきたいと願っていた矢先に降りかかった突然の環境の変化、自分の中の変化。
それをハイそうですかと受け入れられるほど、オレは強い人間じゃない。
『───アキが好きだから。』
甦るのは、夜神の告白。
あんな切なげな声………聞かなきゃよかった。
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