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ーー
夜神と連絡が取れなかったその日の夜。
夜神の方から電話をかけてきた。
時刻は夜の9時を少し回ったところで、こんな時間に誰だよと思いディスプレイを覗きこみ───オレは慌てて電話に出た。
『…アキ?』
「…っ!」
受話器の向こうから聞こえてきた低音に、胸が詰まる。
毎日嫌というほど聞いてきて、とうに聞き慣れた筈なのに……もう懐かしい。
どんだけコイツに惚れてるんだ、オレ。
『今日は悪かった。何も言わねぇでいきなり休んじまって。』
「ホントだよ。しかもLINEすら見ないってどういうことだよ。」
『悪かった。マジで気づかなかった。』
電話越しでほんの少し加工されたような夜神の声は、本当にすまなそうだった。
───昨日は、結局どうなったんだろう。
父親と何を話したんだろう。
夜神が今日学校に来なかったのは、昨日のことと何か関係あるんだろうか。
それすら聞けないまま、暫く他愛もない話をしていた。
『…なあ、アキ。』
「ん?」
『今、すげぇアキに会いたい。』
「え…」
『会いに行ってもいいか?』
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