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「ああ、もう…」 男性は忌々しそうにぼやくと、散らばっている本を拾い始めた。 「大丈夫ですか?」 「!」 見て見ぬふりをするのも気が引け、オレは近寄って一緒に拾い集めた。 男性は驚いたように顔を上げてオレを凝視した。 オレも何気なしに相手の顔を見て───絶句した。 「あ…」 見覚えのある顔。 オレのよく知る顔に、どこか似ている顔。 「夜神の…」 「え?」 思わず口をついて出た名前に、彼は目を丸くした。 何故知っているのか、という疑問が顔にありありと出ている。 「えっと…こないだ、オレと夜神が一緒に帰ってる時に、会いましたよね…」 「……………あっ」
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