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運ばれてきたアイスココアをぼんやりと眺める。
夜神が家族と暮らすことを選べば、当然離ればなれになる。
だからと言って夜神がここに残っても、後悔するかもしれない。
本音を言えば。
夜神とは離れたくない。
だけど、オレの願望を優先したら、夜神が大切に想っている家族と更に引き離すことになる。
その2つの選択肢から、───現実から、目をそらしているだけだ。
だから夜神1人に選択権を押し付け、オレは逃げようとしている。
夜神は、迷っている。
ここに残るか、家族と暮らすか。
でも、夜神がかつて捨ててきた幸せが、今目の前にある。
そしてそれは、捨ててはいけなかったモノ。
無くせば二度と戻らない、かけがえのないモノだ。
夜神には、一度捨てたモノを、取り戻してほしい。
「…すまないね、こんな話されても君を困らせるだけだろうに。」
「…いえ。」
コーヒーを啜り、龍平さんは本当にすまなそうに言った。
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