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「アキ!」
「───っ!」
自分を呼ぶ夜神の声に、ハッとして周りを見回す。
夜神が怪訝な顔をしてオレの顔を覗きこむように見ている。
「…アキ。アンタ、俺に何か隠してねぇか?」
「っ…、隠すって、何を。」
「それを訊いてんだろ。」
夜神が疑わしげな視線をよこしてくる。
…オレが夜神の父親と2人で会ってたこと、夜神は知らない。
「別に何も隠してない。」
「本当にか?」
「なんでそんな疑うんだよ。」
「今朝もボーッとしてただろうが。」
「朝は眠いんだからしょうがないだろ。」
事実を隠しての攻防戦。
オレが隠し事をしているのは事実だけど、それにしても夜神もなんで今日はこんなにしつこいんだ?
オレが隠し事をしていると確信したような、質問攻め。
…知られちゃいけない。
知ったらきっと、夜神は…
なのに。
そんなオレの必死な思いを、誰かが理解してくれる筈もなく。
「そういえば、こないだ暁クン、男の人と喫茶店にいたよねー?」
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