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でも、それだけじゃ終わらなかった。
「俺も、見た。」
真哉さんの静かな声が、オレを奈落の底へと突き落とす。
「如月と……諒の、親父さん。」
「…………は…?」
夜神が呆然とオレを凝視した。
…まさか。
真哉さんにまで見られていたなんて。
完全に、油断していた。
「アキ。どういうことだ。」
「…っ」
「俺の親父と会ってたのか?」
…ダメだ。
目撃者が2人もいる(しかもそのうち1人は真哉さん)以上、誤魔化しようがない。
「…ほ…本屋で、偶然会って…お茶に誘われたんだ。」
「………」
「お前とお前の親父さんのこと、やっぱりすごく気になってたから、話を聞かせてもらってた。」
夜神の目を直視できない。
オレのしたことが、夜神を傷つけたかもしれないと思うと。
「え…リョーのお父さんって…話って、どういうこと?」
海翔が困惑したような声を上げた。
武瑠さんは険しい表情でオレを見ている。
「諒の親父さんがこっちに来てるんだ。」
「! 真哉、なんで知って…」
「如月から聞いた。」
「アキ…!?」
夜神が驚愕してオレを見る。
「諒、如月は面白半分で俺たちに教えたワケじゃない。こないだお前が学校を休んだ時、心配して俺たちに相談してきた。」
真哉さんが嗜めるようにそう言ったけれど。
今の夜神にそれを素直に聞き入れる余裕はなかったようだ。
「……クソッ」
そう悪態をつくと、夜神は立ち上がって扉の方へと向かった。
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