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「…なぁ、夜神。お前、本当は家族と暮らしたいんじゃないのか?」 ずっと、心の底で燻っていた事をぶつけてみる。 すると、それまで前を向いたまま振り向かなかった夜神がゆっくりと振り向いた。 無表情だ。 「…なんで、そう言える?」 淡々と訊いてくるその口調。 けれど微かに───震えている。 「俺は、アキとは離れねぇ。だから付いて行かないと親父にはそう伝えた。そう言っただろう。」 「だったら、なんで迷うんだよ。」 「迷ってねぇよ。」 嘘。 嘘だ。 夜神、お前、まだ迷ってるだろ。 「迷ってないなら、オレに連絡もなしに一日中休んだりしないだろ。」 「………」 「家族を想って身を引いたお前が、オレだけの為に家族を捨てられる筈ない。」 オレの言葉に、夜神の表情が僅かに歪んだ。 何かを押し殺している───そんな顔。 夜神は溜め息をつき、視線を床に落とした。 「…アンタの為だけじゃねぇよ。」
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