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「勿論、アンタがいるからって理由が一番大きい。だが、それだけじゃねぇ。」
夜神は踊り場まで降りると、壁に背中を預けた。
「夜神の家は…もう1つの家族として成り立ってる。俺が出て行ってから2年近く経って、もう俺のいない夜神家として成り立ってんだ。そこに突然父親の連れ子が割り込んでも、ぎくしゃくするだけだ。」
夜神はそう言うと自嘲気味に笑った。
そこにいつもの傲慢さは欠片もない。
まるで自分の居場所を見つけられずさ迷っているみたいだ。
「…だから、付いて行く必要はない。オレにはアキがいる。アイツらもいる。それで充分だ。」
「………」
なんで。
なんでそこまで自分の家族を拒絶するんだ。
夜神の父親が再婚した本当の理由。
母親を亡くした息子に、寂しい思いをさせない為だった。
夜神本人がそれを望まなかったとしても、父親が息子を守ろうとした結果なんだと思う。
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