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「…違うだろ。」
居場所はない、とか。
そんなの誰が言ったんだよ。
「居場所がないんじゃない。お前が、自分で無くしたんだろ。」
親父さんがわざわざ夜神の元を訪れて、一緒に暮らそうと言ったのも。
今度こそ、息子に居場所を作ってやる為じゃないのか。
それを解ろうともせずただただ拒絶する夜神に、オレは悲しくなった。
「アンタに何がわかる…!」
夜神が激しい怒りとともに、そう吐き出した。
「母親が死んで、親父が再婚して新しいガキが生まれて───あの3人は血が繋がってる。あのガキは、本当の父親と母親がいる。俺はと言えば、親父としか繋がりがない。俺があの家にいてどれだけ惨めだったか、アンタにわかるか…!?」
初めて聞く、夜神の本音。
それは、わかっていたことだったけれど、それをずっと抱えてきた夜神の口から聞かされるからこそ、より重く心にのしかかった。
「俺がアイツらのとこに行ったら、今まで3人で幸せにやってきたのを壊しかねない。でもそれ以上に…俺はもうあんな思いはしたくねぇ。3人に遠慮して縮こまんのはごめんだ。」
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