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ーー
「───で? 絶交宣言して、それを実行するってワケだ。」
昼休みが終わり、教室に戻ったオレは、真琴に一部始終を話した。
当然、真琴は呆れた顔をしている。
「あんだけお前に執着してる相手に絶交って、お前無謀なことするよな。」
「…絶交じゃねーし。ちょっと距離置くだけだし。」
別れるんじゃない。
会うのを控える。
「お前がそうしたとして、夜神の意思が変わる保証はどこにもないだろ。そのまま関係がフェードアウトしたら元も子もないじゃん。」
「………」
むぐ。
真琴の言うことはごもっともで、反論もできない。
夜神に素直にならせる為とは言え、その場の勢いであんなことを言うなんて、我ながらガキっぽい。
そんなのは重々わかっている。
「…真琴。人間は、いずれ死ぬんだよ。」
「何だよ急に。」
「夜神の母親が亡くなったように、夜神の父親も、義理の母親も、永久に生きられるワケじゃない。もしもの時───その時が来ても、夜神には後悔してほしくない。手遅れになった後で、一緒に暮らせばよかった、なんて後悔はしてほしくないんだよ。」
オレの言葉を、真琴は黙って聞いていた。
真琴は、いつもそうだ。
オレが真剣に悩んでる時、いつもこうして茶化すことなくまず話を聞いてくれる。
だからオレは、夜神と付き合うことについても、真琴には何でも言える。
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