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「史ちゃん、今日はちょっと行きたいところがあるのだけど良いかしら?」
彩ちゃんからの突然のお誘い。いつも私が誘う役だから新鮮な気がします。
「いいよ!」
当然私は二つ返事で答えるわけで、これが私の運命を変えるものだなんて思いませんでした。
「どこいくの?」
「んー、ついてからのお楽しみかな」
今日の彩ちゃんは少し珍しい気がします。
そわそわしてる……?
んー、具体的には分からないけどなんとなくいつもと違うように感じます。
まぁ付いていけばきっと色々分かりますよね!
と、思ってから三十分。
私たちはまだ歩き続けているのです。
「ねぇ、彩ちゃんまだー?」
流石に目的も分からず歩き続けるのが疲れてしまいました。
「もうすぐよ」
彩ちゃんの答えに、私は安心します。
彩ちゃんは時間には結構きっちりしているし、嘘は基本的につかない性格です。
だから本当にもうすぐのはず。
それから五分とかからず彩ちゃんが立ち止まった。
少し安心しつつ、前を見ると……。
「学校……?」
「そ、今日はここ、茜ケ丘学園で体育祭が行われてるのよ」
へー、って……。
「彩ちゃんがどうしてそんなこと知ってるの?」
「少し前からビラ配りしてたわよ……?」
知らなかったの?と少し呆れた顔で言われてしまった。
行ってもない学校の行事なんて知らないです!
そう目で訴えると彩ちゃんは溜息を吐く。
「入りましょうか」
そう言って我先にと校門をくぐって行く彩ちゃん。
「って、ちょっと待って!一人にしないでよー!!」
私は慌てて彩ちゃんを追いかけた。
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