魔法使いと日常

3/6
前へ
/8ページ
次へ
☆ 「ただいまー」 と言い、家へあがる。返事は帰ってこない。 花蘭は、11歳の時に両親を亡くしている。忌々しい、交通事故で。 「…よし、完了!」 明日は金曜日、校外学習である。1泊2日で、山奥へ行く。泊まるのは少年自然の家のようなものだが、様々なレクリエーションがある。 花蘭は準備を終わらせ、買った文庫を読む。この時、花蘭はあの本の事をすっかり忘れていた。 ☆ 翌朝。リュックを背負って出ようとすると、あの本の事を思い出した。封をあけ、どうしようかと迷った花蘭。 しかし、本好きとしては昨日忘れていたのが恥ずかしい位なので、そのまま本をリュックに詰めた。 「うん。これでよしっと、行ってきます。」 いざ、山奥へ。 ☆ 「おはよー、花蘭」 眠そうな声で話し掛けて来たのは、風理だ。 「おはよ、風理。眠そうだね」 私も眠い。眠いが、背中のあの本が気になって仕方がない。 「うん、すっごい眠い。…あ、皆が来たよ」 皆、とは、班員のこと。私たちの班は5人で、私と風理と、 「おはよう。早坂、本宮。」 「おはよーっ」 「早いのね、2人とも」 この3人。 まず、水野珠樹(ミズノ タマキ)。 学級委員長をやっていて、周りからの信頼も厚い。噂によると、学力は学年一らしい。運動もできるから、まさに文武両道、ってやつ。 つぎに、焔太一(ホムラ タイチ)。 クラス一の元気さを持っている。容姿もまあ、かっこいい方で、何回か告白されてる場面を目撃したことがある。運動会では、100m走で水野に勝ってた。 それから、土屋世奈(ツチヤ セナ)。 私と風理の幼馴染みで、私達以上の本好き。いつも、窓際の後ろの席で本を読んでいる。髪型はストレートで、漆黒なの。皆からは、お人形さんみたい、って言われてるくらい綺麗。 「点呼始まっちゃうし、行こっか」 水野が言い、皆で集合場所へ向かう。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加