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「2班、全員います」
水野が報告した。他の班も続々と登校し、点呼・報告をしている。
「やっぱ、珠樹がいると安心だよな」
焔が言う。皆でうんうん…と頷いた所で、先生が話を始めた。
「皆、おはよう。眠いだろうが、これからバスに2時間揺られる事になる。酔わないように、楽しんで行ってこいよ」
馬鹿にされてるような気もするが、取り合えずバスに乗り込んだ。
☆
2時間と少しが経ち、やっと「少年自然の家」に着いた。まずは、オリエンテーションとしての「探索」である。
先生の長ったらしい説明を聞き、森へ入る。
「説明、長かったな」
太一が不満を漏らす。
「まあまあ。危険な所とか、結構重要な話だったぞ?」
と、珠樹が言う。
「この中で真面目に聞いてたの、珠樹位だぞ?」
太一が返す。すると、
「失礼ね、私はきちんと聞いていたわ」
と世奈が言い、皆で笑った。
しばらく歩いていると、私はあの本の事を思い出した。鞄から取りだし、開けてみる。
「花蘭、それ、どしたの?」
風理に、ひどく驚いた顔で聞かれたので、私は、本屋での出来事を話した。すると、他の3人もこちらを向き、不思議そうでもあり、驚いたようでもある顔をしていた。
「え、何、皆。どうしたの?」
4人は顔を見合わせる。そして世奈が、
「花蘭。その石、取り出して右手で握ってみて」
私は頭の中に?マークが沢山浮かんでいたが、言われる通りに半透明な小石を握ってみた。
…すると、石は輝き始め、次第にまばゆい光が広がって行く。
余りのまぶしさに目を閉じ、もう一度開くと、右手には黄色の小石が。
「……え?」
黄色い。最初は半透明だったはずなのに。訳が解らずにいる花蘭は、風理たちの方を向いた。
「これ……」
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