3話:母からの手紙――匣の中

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「彗、ちょっと黙って」 急激に下落した室内気温に、天音は一瞬にして目の色を警戒に鋭くする。 【どうしたんだよ、急に真剣な顔したりして…】 「静かに…っ、アレ見て。ちょっとどころか…かなりヤバいわよ、この感じは」 【……マジ?】 陽気に熱弁していた彗も、ただならぬ鬼気を感じたようで、一旦お喋りな口を噤んだ。 「絶対、アンタが悪いんだからね…」 鬼気の発生源は、寂しく床と仲良くなっている白い固形物。 本来なら既に命終えたものである物体が、悸きながら明らかに濃い殺気を放っていた。 〈こ、の罰当たりが……我を投げた不届き者はどいつだァ?!〉 ぎ、ぎ、ぎ…と転がったまま向きを変える白い固形物もとい御神体。 ある意味、ホラーである。 〈お前だなァ、雰囲気がそんな感じだ…〉 隣にいる天音を通り越して御神体が睨みつけたのは、幽霊の癖に青くなっている彗。 当たっているだけに、文句も言えない。 かくかく言いながら、ドスの利いた低音で毒づく骨に、天音は更に迫りくる二次災害を予期して身震いをした。 「ば…バカっ、早く謝るの!!」 突っ張る彗の頭を、無理やり掴んで下げさせる。 だが、そんな天音の最善作も彗の短気で台無しになってしまった。
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