3話:母からの手紙――匣の中

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【は! ヤだね。骨に謝るなんて、冗談きついぜ】 「彗! アンタ、なに言ったか解ってんの!?」 〈ほう? 我を“たかが骨”と見縊るか。…この罰当たりで無礼な人霊風情めがっ!〉 転がったまま、思いきりシャ――っと牙を向く頭骸骨。 対峙する双方の間に熾烈な雷が疾ったように見えて、天音は蒼白だった顔色を更に蒼くする。 しかし、対峙する彗もまた頑固だった。 彗は、(違う意味で)怯える天音を背に庇って拳を構え、攻撃態勢をとる。 〈新たな主ならいざ知らず…縁もない下郎の分際で我に指図するなど…噛み砕いてやろうか!!〉 【バっカ野郎、たかが骨に何ができるってんだよ。てんで脅しにもなりゃしねえ】 「彗、今すぐ歯向かうのをやめなさい! アンタの為を思ってるんだから、聞き入れて!」 【大丈夫だっての、こんな骨にやられる訳…】 〈言ったな? ならば見せてやろうではないか。…見てから後悔しても遅いぞ!!〉 蔑む口調で、頭蓋骨が嗤う。 対して反発するように笑っていた彗は、溢れ出した膨大な霊圧にたじろいで、一歩といわずニ三歩後ずさった。 【っ!!】 白骨を包んで赤黒い焔が巻き上がり、鮮やかにさんざめいた後――中から重い唸りと共に、大きな影が彗目掛けて迫る。
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