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すっぱりと瞬殺され、彗は殺気込めて中型犬サイズになった視を睨めつける。
が、とびきりの笑顔でスル―された。
箸にも棒にもかからないとは、正にこの事だ。
〈ああ、その事でしたら心配ありませんよ。こんな感じでコンバートしますから〉
嬉しそうに言って、視はその場で犬の形を歪ませる。
〈あの形は弊害が多いので緊急用、いつもはこうして擬態していたんですよ〉
飴細工のように熔けていた視が形をとった時、再び顕れたのは毛皮と同じ鮮烈な銀色――。
だ・か・ら、と語尾にハートをつけて、銀髪少年がちょこんと愛らしく首を傾げる。
「視、なの?」
〈はい。これではダメ……ですか?〉
【オイぃ! なに絆されてんだよ天音ええっ】
「五月蠅いよ彗、滅されたい?」
ギャンギャンと騒ぐ彗に嫌な顔をして、天音は鼻先寸前にお札を突きつける。
すると、彗は面白いくらいに青褪めた。
【ヒッ、扱いヒドッ!】
〈というわけで、末永く宜しくお願いしますね、天音さま〉
銀色の中型犬が座っていた位置そのままに現れた少年に、天音はやや間を空けてから『イケメン』と小さく呟き、頬を染めたのだった。
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