2話:母からの手紙……そして、

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/ 【痛ってぇ~……テメェ、いまグーで殴りやがったな!?】  雨降りの、静かな夜半にいきなり転がり出た会話は、なんとも言い難い刺々しいものだった。  僅かに赤くなった頬を摩りながら憤慨する、青髪の幽霊男・彗。 「だって。電子レンジ開けたら、いきなり顔があるんだもん…ついバシッと」 【ふざけんな……痛ってて、幽霊殴るとかお前、どんだけの馬鹿力だよ】 「嫌なら、大人しくしてればいいじゃない」  ぷい、と彗の鼻先を天音のツインテールの先が掠めて通り過ぎた。  顔合わせを済ませたとはいえ、天音は(何かとフレンドリーな彗は別として)まだ完全に環境に馴染んだという訳ではなかった。  やっと一人暮らしができると思いきや、引越し先はボロ物件で、しかも幽霊付き。  取り敢えず、家賃は安くて助かる。  しかし想像していた生活とのギャップが激し過ぎて、なんとも言えない不快感が鎮座し、未だ天音を意固地にさせていた。 【なんだよ。被害者はこっちだっつーの…】  返ってくるだろう軽口と拳に、彗は戦闘態勢をとって構えるが、いつまで待っても天音からの反撃はなかった。 【天音?】  身を乗り出すようにして天音の肩に触れた瞬間、彗は小さく息を詰めた。  『 サミシイ…サミシイ… 』  彗の中を、声高に鋭く――その、ただ一言が貫通していったのだ。  何故かは解らないけれど、いま彼女から伝わってきたのは、救いを求める酷く頼りない思念だった。 (何でかは知らねぇけど…いま、コイツから伝わってきたのは…?)  背中を向けて、段ボールを漁っている天音の横顔はどこか寂しそうで、今にも泣き出しそうな具合さえ窺えた。
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