ーシロツメクサの花冠ー

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ただ泣き続けるあめに、少しだけあめん子はむっとしました。 「あめ。泣いてるだけじゃ、何もできないんだょ?」 その言葉に、あめはのろのろと顔を上げました。 驚いた表情で、まっすぐあめん子を見ます。 「……………でもっ……」 「壊しちゃったのは戻らないんだから、謝らなきゃ。ちゃんとごめんなさいした?」 それは昔、まどかから教えてもらった言葉です。 「まどか、ちゃんとごめんなさいしたら怒らないょ?」 あめん子がそう言っても、あめはでも、と否定します。 それほどまでまどかが怒る様な大事なものが分からなくて、あめん子はあめが何を壊したのかを聞きました。 「女の子の、オルゴール……ネジを巻くと、女の子がクルクル回るの。ままが、ぱぱにもらった大切なもの……」
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