終焉

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それはあまりにも突然起こった。呆気ない。 熱を失ったそれは,触れてもやっぱり実感がわかなくて。 手に伝わる冷たさ。 動くことのない体。 どれもちゃんと感じているのに,なぜだかちっとも現実味が沸かないのだ。 挙げ句の果てに, 綺麗だな。 なんて思ってしまう。 すすり泣く声が部屋に響く。その声から耳を背けるように下を見て,やっと自分が泣いていることに気付いた。ただただ静かに涙が流れていた。 最後に触れた手の感触がいつまでも消えない。
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