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パチ・・・
「夢・・・なんだよな」
ふと肩に重みを感じて右を見るとミウラがもたれかかっていて眠っていた。
瞳からは涙が零れる。
風が吹いて涙が乾く。
夢なんだ、なんど祈ってもあれは夢
分かっててもただただ祈ってしまう、いつか戻れますようにって
いつかまた父さんに母さん、そしてあの二人に会えますようにって
「空しいだけなんだよな」
また涙が零れる、一筋また一筋と
声をあげて泣きそうな気持ちをこらえる。
またもう一度感情を切ったら、今度は戻れない気がするから
「零さん」
「ごめん、起こしたかミウラ」
「泣かないでください。」
「ごめん」
「零さんがみんなの笑顔を見るのが好きならボクは零さんの笑顔を見るのが好きです。だから悲しい顔は見たくないです。」
「だからって、我慢できねぇよ。泣きたくなる時くらいあるんだ。」
「だから・・・」
ミウラは膝立ちになり、僕の顔を抱え込んだ。
「ボクに悲しい顔を見せないように泣いてください。・・・なのはさん達みたいに頼れる胸はありませんが・・・これでも零さんよりかは年上のお姉さんです。」
「・・・ありがとう」
いつかのようにまた泣いた。
今まで溜まっていた涙をだしつくすまで
ひとしきり泣いたあと
「ありがとうミウラ」
目が腫れているが笑顔で言った。
「・・・頼りないですけど、少しでいいから頼ってください。零さんの悲しい顔は・・・ほんとに見たくないから」
「うん」
「この旅行が終わったら今度は八神道場にもきてください。また二人で特訓とかしましょう。」
「あぁ、またおかし持っていく」
「合宿とかもしましょう。ザフィーラ師範に頼んで引率とかしてもらって、だから・・・だから」
「言いきれないけど、もう考えないようにする。」
「違います、考えてもいいんです。でもこの世界に前の世界と同じくらいに楽しい世界に、同じくらいに好きな世界になってほしいんです。
そのためならボクはなんだってします。合宿とか楽しいことたくさんしましょう。
だからこの世界を嫌わないでほしいんです。」
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