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A「仕方ないって。どうせここで働いたら分かることなんでしょ?」
B「まあね。それだけに、マネされて隣に店でも出されたら商売にならないからね」
A「出さないですよ。そんな資金もありませんし」
B「じゃあ。教えますよ」
A「はい!」
B「当店自慢のラーメンは、みそラーメン、塩ラーメン、とんこつラーメン、しょうゆラーメンの4種類です」
A「おお!」
B「みそラーメンは、サッポロ一番みそラーメン。塩ラーメンはサッポロ一番塩らーめん。とんこつラーメンは、うまかっちゃんのとんこつ味。しょうゆラーメンは出前一丁のしょうゆ味を、そのまま使っているんです」
A「どこにでも売ってるインスタントラーメンじゃないですか!」
B「だから?」
A「どこが、麺とスープこだわってるんですか!」
B「どこよりも安く仕入れることにこだわってます!」
A「いや、普通、こだわるところは味でしょ、味!」
B「は~あ?」
A「さっき、お客さんは味目当てで来てくれるって言ってたでしょ」
B「(ムッとして)味覚音痴のくせに通ぶったお客さんなら、ここのラーメンは美味いなあ! って言ってくれるんだよ」
A「この店には、味覚音痴なお客さんしか来ないんですか!」
B「いや、味覚音痴のお客さんさえも来ないラーメン屋なんだ」
A「ダメじゃないですか」
B「実は、君がここに入って来たときも、お客さんが来たのかと思ってびっくりしていたところだったんだ」
A「もしかして、まだ一人もお客さん来てないとかじゃないでしょうね」
B「(渋く)そうさ。やっと理解したかい」
A「いや、何でそこでカッコつけるんですか。そんなことでお店やっていけるんですか?」
B「なんとかしてみせるさ! 経営方針を変えるんだよ」
A「どう変えるんです?」
B「よし、じゃあこの店を君にあげよう。今日から君は、この店の店長だ!」
A「ええ! いいんですか。でもアナタはどうするんです?」
B「私はこれから、夜逃げします。それじゃ後はよろしく!」
A「ええ~っ!」
二人 「ありがとうございました」
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