ラーメン屋でアルバイトしよう

4/4
前へ
/4ページ
次へ
A「仕方ないって。どうせここで働いたら分かることなんでしょ?」 B「まあね。それだけに、マネされて隣に店でも出されたら商売にならないからね」 A「出さないですよ。そんな資金もありませんし」 B「じゃあ。教えますよ」 A「はい!」 B「当店自慢のラーメンは、みそラーメン、塩ラーメン、とんこつラーメン、しょうゆラーメンの4種類です」 A「おお!」 B「みそラーメンは、サッポロ一番みそラーメン。塩ラーメンはサッポロ一番塩らーめん。とんこつラーメンは、うまかっちゃんのとんこつ味。しょうゆラーメンは出前一丁のしょうゆ味を、そのまま使っているんです」 A「どこにでも売ってるインスタントラーメンじゃないですか!」 B「だから?」 A「どこが、麺とスープこだわってるんですか!」 B「どこよりも安く仕入れることにこだわってます!」 A「いや、普通、こだわるところは味でしょ、味!」 B「は~あ?」 A「さっき、お客さんは味目当てで来てくれるって言ってたでしょ」 B「(ムッとして)味覚音痴のくせに通ぶったお客さんなら、ここのラーメンは美味いなあ! って言ってくれるんだよ」 A「この店には、味覚音痴なお客さんしか来ないんですか!」 B「いや、味覚音痴のお客さんさえも来ないラーメン屋なんだ」 A「ダメじゃないですか」 B「実は、君がここに入って来たときも、お客さんが来たのかと思ってびっくりしていたところだったんだ」 A「もしかして、まだ一人もお客さん来てないとかじゃないでしょうね」 B「(渋く)そうさ。やっと理解したかい」 A「いや、何でそこでカッコつけるんですか。そんなことでお店やっていけるんですか?」 B「なんとかしてみせるさ! 経営方針を変えるんだよ」 A「どう変えるんです?」 B「よし、じゃあこの店を君にあげよう。今日から君は、この店の店長だ!」 A「ええ! いいんですか。でもアナタはどうするんです?」 B「私はこれから、夜逃げします。それじゃ後はよろしく!」 A「ええ~っ!」 二人 「ありがとうございました」
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加