48人が本棚に入れています
本棚に追加
「3年C組、篠崎水琴。明日の朝7時45分集合、だから」
それだけ言うと、彼女はくるっと前を向いて歩きだした。
僕は今の状況を整理できなくて、頭のなかがフル回転している。
明日の朝って、曲がり角に集合ってことでいいのかな?
それってつまり…。
一緒に登校するってこと!?
「小太郎」
不意に名前を呼ばれて、声の主を探す。
そこにいたのは、振り返って僕を見つめる篠崎さんで。
「ばいばい、小太郎」
小さいけれど、透き通るように綺麗な声が僕の鼓膜を揺らした。
「さようなら!!」
緊張で裏返ってしまった僕の“さようなら”。
だけど彼女は軽く腕を上げて、2、3度横に手を振ってくれたんだ。
僕は篠崎さんの背中が小さくなるまで見送っていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!