潔癖症な彼女。

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「3年C組、篠崎水琴。明日の朝7時45分集合、だから」 それだけ言うと、彼女はくるっと前を向いて歩きだした。 僕は今の状況を整理できなくて、頭のなかがフル回転している。 明日の朝って、曲がり角に集合ってことでいいのかな? それってつまり…。 一緒に登校するってこと!? 「小太郎」 不意に名前を呼ばれて、声の主を探す。 そこにいたのは、振り返って僕を見つめる篠崎さんで。 「ばいばい、小太郎」 小さいけれど、透き通るように綺麗な声が僕の鼓膜を揺らした。 「さようなら!!」 緊張で裏返ってしまった僕の“さようなら”。 だけど彼女は軽く腕を上げて、2、3度横に手を振ってくれたんだ。 僕は篠崎さんの背中が小さくなるまで見送っていた。 .
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