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その理由を思い出した瞬間、顔に火がついたように熱くなってきた。
「ああのっ、違くて…。いや!!違くないんですけど…。本当にただ篠崎さんが好きなだけで!!付き合いたいなんておこがましいことは考えてもいな」
「いい」
「え?」
被せるように呟いた彼女。
言葉の意味が理解できなくて、僕はまた間抜けな声を出してしまった。
篠崎さんの顔色をうかがいたくても、ちょうど隠れていて見えない。
強い風が吹いて、カーテンと一緒に舞い上がった黒髪が顔を隠してしまったからだ。
髪を耳にかける動作も、まるで1枚の絵画みたい。
この美しい光景を写真に納めたくて、無意識にカメラを探してしまう僕は、やっぱり写真オタクなのかもしれないな。
僕は固唾を呑んで、篠崎さんの言葉を待っていた。
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