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「付き合っても、いい」
ツキアッテモイイ。
つきあってもいい。
付き合っても、いい?
篠崎さんは確かにそう言った。
でもはっきり届いたはずなのに、その言葉をすぐには理解することが出来なくて。
瞬きもしないで、僕はしばらくの間、固まってしまっていた。
「3年3組佐藤大輔くん。至急職員室まで…ー」
生徒を呼び出すための放送が、廊下から響いて聞こえる。
それがきっかけになって、まるで魔法が解けたように僕の頭は鮮明になっていく。
信じられないけど。
確かに篠崎さんは、僕の告白に応じてくれた。
ということは。
僕なんかがあの篠崎さんと、付き合ってもいいの?
「えええぇぇぇぇ!?」
篠崎さんは気にする素振りも見せずに、本を手に持って立ち上がった。
口をあんぐり開けたまま固まってしまった僕。
そんな僕の前までくると、篠崎さんは再び僕を見つめてこう言ったんだ。
「ただし、あたしの半径1メートル以内には近付かないこと。これが条件、だから」
篠崎さん。
それは本当に付き合ってると言えるんでしょうか…?
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